約 4,056,012 件
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/577.html
第471話:用意するものは、狙撃手とガスボンベです 作:◆Sf10UnKI5A 「――到着よ。あの学校が目的地」 商店街を離れたマージョリーが足を止めたのは、学校から百メートル強ほど離れた民家の軒先だった。 「目的地って、じゃあ何故ここで止まるんだい?」 「今からあそこを襲撃するからよ」 「……つまり、あの学校に君のターゲットがいる?」 「可能性があるのよ。それを確認したいんだけど、元よりまともに話せる相手じゃないわ。 だからアンタにも働いてもらう」 「具体的には? 俺、肉体労働は不向きなんだけど」 「簡単な仕事よ。――その銃で、あの窓を撃ってちょうだい」 臨也の反応は、無言だった。それに対しマージョリーは、 「あの端から三番目の部屋の窓ならどれでもいいわ。今ならあそこに四人集まってるから。 そうね、タイミングは……」 「おいおい、ちょっと待ってくれよ」 慌てて――といった風には見えないが――臨也は口を挟んだ。 「さっきも言ったけど、俺は一度も銃を撃ったことが無い。命中率は壊滅的だ。 そもそもその狙撃にどんな意味があるのか判らない」 マージョリーは、はぁっ、と溜め息をついて、 「何、一から十まで全部説明しろっての?」 「説明も何も、銃声っていうデメリットがあって、しかも当たるはずがないのに撃てって言うのが問題だ」 「この近辺で誰かいるのはあの学校、あの部屋にいる四人だけよ。 心配せずぶっ放しなさい。フォローは私がするから」 「ヒーヒヒヒッ! こんな奴と手を組んでご愁傷様だブッ」 「お黙りバカマルコ」 臨也は呆れつつ、しかしどこか楽しそうに、 「何にしても、具体的な計画を教えてもらわないと不安が残るんだけど」 「アンタが窓撃って連中の気が逸れたところで私が突入」 マージョリーはそれっきり何も言わなかった。 「……どう考えてもこっちのリスクが大きいな。 そもそも、君が学校内の連中と手を組んでる可能性も――」 「あのねえ」 マージョリーが不機嫌をあらわにした顔で臨也の言葉を断ち切った。 「今更なぁにをグダグダ言ってんの? 男だったら細かいこと気にしないで、ドーンと一発ぶちかましてみなさいよ」 「この島でそんなこと言われて、本気にする奴はいないと思うよ」 「だがよイザヤ、どうせお前さんはもう逃げられねえぜ? 撃たずにこの場から逃げるようなら、こいつのターゲットは向こうの連中から お前さんに変わっちまうわけだからなぁ、ヒャハハハハッ!」 「そういうこと。じゃあ、今から10分後に撃ちなさい。それを合図に私が動くから。 二発目以降は自分で決めなさい。もし裏切ったらタダじゃおかないわよ」 マージョリーはもう一度時計を見て、 「――4時40分、いいわね? 上手くいったら戻って祝杯でも挙げましょ。それじゃ」 「ヒャハハハ! せいぜい頑張れよイザヤぁ!」 グリモア片手のマージョリーは、先ほど示した窓を避けるようにして駆けて行った。 一人になった臨也は、その場に腰を下ろし、肩の狙撃銃も下ろした。 「まいったなあ……。随分予定外の事態になってきた」 本来臨也の性質は、『指し手』であって『駒』ではない。 しかしこのゲームは参加者全てに駒であることを強いたいらしい。 (マージョリーにしたって、自分の意思で勝ち残りを目指しても ゲーム主催者の掌の上で踊っていることに変わりは無い。 あの態度が全部演技だったら大したものだけど、流石にそれは無いかな。 子荻ちゃんが生きていれば、ここまで面倒にはならなかったんだろうけどねえ) 指し手は駒を動かすことは出来るが、自身が駒の力を持っているわけではない。 強制的に盤上に上げられた指し手は、駒に比べて圧倒的に無力だ。 「多少は動かざるをえない状況ってわけか……」 とんでもない奴と手を組んでしまったな、と臨也は改めて思った。 (まあ、敵地に無理矢理突っ込まされるよりはマシか。囮には変わりないけど……) 時計を見ると、丁度38分を指していた。 臨也は銃を手に取ると、目標の窓から見えにくそうな所を選び膝立ちになった。 マンション屋上で見た子荻の狙撃姿勢を思い出し、構える。 (狙う部屋の窓が多いから、照準が横にブレたとしても問題は無し。 縦方向の角度に気を配れば、この近距離でこの的の大きさなら当てることは不可能ではない、っと) 臨也は数時間前、萩原子荻に狙撃のコツについて尋ねていた。すると彼女は、 『コツと言うほどのことではありません。自分で決定した『策』に殉じるだけです。 敢えて言うならば、『策』に殉じるべく精神を集中させること、ですね』 こともなげに言ってくれたが、臨也は今なら理解出来る気がした。 臨也は一度構えを解くと、再び時計を確認した。 時間は4時39分を少しだけ過ぎている。60秒後に撃つと決めて、臨也は射撃姿勢を取った。 本職と比べれば不恰好に過ぎる姿だが、しかし臨也は置物にでもなったかのようにぴくりとも動かない。 (毒食らわば皿まで、か。手を組んだ以上は精々利用させてもらうさ。俺も利用されていると判っていてもだ) ――そして、臨也は引き金を引いた。 臨也と別れたマージョリーは、数分後に校舎内に入った。 多少時間がかかったのは、校舎裏である物を調達するためである。 あまりにも人数の多いグループを残しておくと後々面倒。 そう思って再び学校の様子を窺いに来たのだが、 「存在の力が一番デカい奴が消えてるってのは、好都合だったわね」 「しっかし、自在法が使えないからってそんなモンに頼るのかぁ?」 マージョリーは、そんなモン――右手に抱えたガスボンベを見て、 「使えるものは猫でも使えって言うでしょ」 その言葉を最後に、二人は口を閉じた。 目的の部屋からすこし距離を置いて、マージョリーは立ち止まる。 (部屋の中に大きな動きは無し。後はイザヤが動けば――) そしてしばしの間を置いて、銃声が聞こえてきた。 「さあて、こっからはこっちの仕事よマルコシアス!」 「アイアイサーってなあ! 我が壮絶なる破壊師、マージョリー・ドー!」 横倒しにしたガスボンベを、足で押して保健室の方へと転がしてやる。 部屋の前で爆発させよう、――そう思っていると、先に中から人が出てきた。少年が一人に少女が一人。 少年の方と目が合ったので、マージョリーはにっこりと笑い、 「ハァーイ、正義の味方が助けに来てやったわよ。――嘘だけどッ!!」 そして指をパチンとならし、ボンベに仕込んだ自在式を発動させた。 単にボンベの内側で爆発を起こすだけの、ごく簡単な自在式を。 「さぁーて、次はどう来るのかしら?」 臨也の二発目の狙撃音は聞こえてこない。 が、マージョリーは特にそれを気にしなかった。 「あの野郎でも、流石に窓から出るようなら撃つでしょうし。……ん?」 保健室の中から、デイパックが一つ投げ出され、 「――行け! 地獄天使(ヘルズエンジェル)号!!」 その声を合図とするかのように、デイパックから“それ”は現れた。 質量保存の法則を完璧に無視し、超重量級の猛牛、地獄天使号が姿を現す。 長時間デイパック(内の謎の空間)に閉じ込められていたことで、 地獄天使号のフラストレーションは最大級に達している。 突進の予備動作として、彼は身を低く沈め―― 「ブモオオオオォォォォオォォオオォォオォォッッッッ!!!!」 恐ろしい勢いで突進してくる巨躯を、しかしマージョリーは恐れずに、 「……マルコシアス、先に謝っとくわ」 「あぁ? 何を――」 と、マルコシアスの返事を受けつつマージョリーは『グリモア』を振りかぶり、 「――っはあああぁぁぁぁっっ!!!!」 気合一閃、どんぴしゃりのタイミングで地獄天使号の額に叩きつけた。 超重量の突撃を、マージョリーはその場から一歩も動かずに受け止めた。 地獄天使号はといえば、マージョリーの膂力とグリモアの強固さ、 そして自らの突進力を額の一点に受け、意識を失いかけていた。 「ぶもっ! ぶもおおおっっ!!」 それでもなお前へ進もうとする地獄天使号に対し、マージョリーは、 「黙りなさい食肉風情がッ!!」 グリモアを持つ右手は緩めず、左手に炎を生み、――それを叩きつけた。 さらにダメ押しとばかりに、地獄天使号の八方に炎を生み、それで彼を包み込む。 「ブモオオオオォォォォオォォォォオォォォオォッッッッッ!!!!!!」 辺りに断末魔が響き渡り、そして生肉の焼ける匂いも漂い始めた。 ふぅ、と一息ついてから前を見ると、先ほどは見なかった少女が剣を片手に立ち塞がっている。 その背後、階段へと消える三人の姿をマージョリーは確認した。 (……ま、目の前のコイツを倒してから追えば良いわね。血が残ってるし) そう思い、マージョリーは別の方向に怒りを向ける。 「ったく、こんな隠し玉持ってるならそう言いなさいよね」 そう言って、丸焼きと化した地獄天使号に一発蹴りを入れた。 「ヒャハハッ! 牛同士仲良くやれって言いてぇブゴッ!」 「私のどこが牛なのよ。――さて、そこの嬢ちゃん」 前方に立つ少女には、緊張こそあれど恐怖の色は見当たらない。 そんな様子に、生意気なガキばっかりね、とマージョリーは思う。 「自らの身を挺して傷ついた仲間を逃がそうってワケ? 泣かせてくれるわね。 でも、容赦はしないわよ」 そしてマージョリーは、自らの最強の武器、群青の炎『トーガ』を身に纏った。 「キャハハハハ、ぶっ飛びなぁッ!」 「ギャハハハハ、ぶっ潰れなぁッ!!」 共鳴する声をバックに、マージョリーは炎の拳を繰り出したが、大振りのそれは簡単に避けられた。 そこまではマージョリーも構わなかった。――が、次が問題だった。 「……あぁン?」 無音で斬り落とされた炎の右腕を見、マージョリーは怪訝をあらわにする。 「ヒー、ハー!! 『トーガ』の右腕を切るたぁ、ソイツもただの剣じゃあねぇな!?」 (ただの剣、どころか、……使い手に問題アリよ!) 「ならっ、……これはどうかしらっ!?」 廊下を埋め尽くす群青の炎は、割れた窓から吹き込む雨、――否、それを操る少女の術で防がれた。 「ッあーもーしぶといガキねえ!」 「ヒャーッ、ハッハ!! 殺しがいがありそうで結構じゃねぇか! せいぜい抵抗してみろよ、嬢ちゃん!!」 斬られた右腕は既に再生してある。こちらはまだまだイケる状態。 (そして、雨を利用するコイツの次の一手は……) 考える中、下らぬ雑談を持ちかけてきたのでマージョリーはそれを流した。 と、その直後に少女は窓から外へと飛び出た。 「逃がさないわよ!!」 マージョリーも瞬間的にトーガを解除し、細身の体を外へと躍らせる。 そしてまたトーガを身に纏い、 (マルコシアス! 決めに行くから合わせなさい!!) (あいあいよーッとォ!!) ただの雨では、自在法で作られた炎は消えやしない。 少女を校舎から離さないように、マージョリーは攻撃を放つ。 獲物を罠に追い込むように、じっくりと確実に。 そして、目的の場所が目に入った。 「鬼ごっこは終わりよチビジャリ2号!」 マージョリーは口を動かし、自在法を紡ぎ出す。 「かえるの兄さん結婚するよッ!」 「やれやれやれよと囃し立て、ハァッ!!」 “屠殺の即興詩”。 マージョリー・ドーが自在法を操る時に詠う、文字通りの即興の詩。 それを合図に群青色の炎弾が生まれ、少女を飛び越し目的地へとさらに飛ぶ。 ガスボンベの密集するそこへ、炎弾の蛙は一斉に向かっている。 そしてマージョリーとマルコシアスは、シメの一発を決めにかかった。 「かえるの兄さん、お終いさァ!!」 「一、二、三と、ハイ!!」 『それまで、よッ!!』 「……暇だなあ」 一仕事終えた臨也は、大した時間も経っていないのにそんな言葉を口にしていた。 最低限の仕事で良いと言ったのはマージョリーの方なのだから、 その通りにするのが賢いやり方だ、と臨也はもちろん理解している。 しかしその理解を揺らがせる事件が起きた。 自分が狙われたのか、と錯覚するような巨大な爆発音が辺りに響いたのだ。 (凄い爆発――っと、あれか?) こんな豪雨だというのに、学校の方から黒煙が上がっているのが見えた。 臨也は銃のスコープを覗き、狙っていた部屋とその周りを確認する。 (人影は全く無し。行くにしても逃げるにしても、今しかないか) マージョリーの言葉を信じるなら、今この近辺にいるのは、学校から逃げた連中を除けば自分だけだ。 (あの爆発を起こしたのがマージョリーだとしたら、もうしばらくはその戦闘力が頼りになる、か) 数十秒。それだけの時間を思索に費やし、そして臨也は学校へと駆け出した。 「っと、こりゃ随分酷いな」 狙撃した教室――保健室の内部には、生々しい血の跡があり、また生肉の焼ける臭いが漂っていた。 (…………って、本当に生肉かよ。しかも牛じゃん) 思わずツッコミを入れながら。臨也は血の跡を辿ってみた。 するとそれは階段へと続いていた。しかも下り階段である。 (地下室? ……いや、マージョリーのやり方を見て、袋小路に逃げる人間がいるわけがない) つまり、この下には秘密の通路でも隠されているのかもしれない。 (と言っても、逃げてる連中も血を残してるのには気づいてるだろうし、簡単には追えないよねえ。 この血の量じゃ結構な深手なんだろうけど) それとも、まずはマージョリーの状態を確認するか。 どうせ向こうはこちらの動きに気づいているはずだ。 あの爆発でやられでもしていなければ、だが。 「さあて、どうしようかなあ……」 【D-2/学校裏手/1日目・16 55】 【サラ・バーリン】 [状態]:物語感染済。 [装備]:理科室製の爆弾と煙幕、メス、鉗子、魔杖剣 断罪者ヨルガ (簡易修復済み) [道具]:支給品一式(地下ルートが書かれた地図)、高位咒式弾×2 『AM3 00にG-8』と書かれた紙と鍵、危険人物がメモされた紙。刻印に関する実験結果のメモ [思考]:刻印の解除方法を捜す。まとまった勢力をつくり、ダナティアと合流したい [備考]:刻印の盗聴その他の機能に気づいている。クエロを警戒。 クエロがどの程度まで、疑われている事に気づいているかは判らない。 【マージョリー・ドー】 [状態]:全身に打撲有り(普通の行動に支障は無し) [装備]:神器『グリモア』 [道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1300ml) 、酒瓶(数本) [思考]:ゲームに乗って最後の一人になる。 臨也と共闘。興味深い奴だと思っている。 シャナに会ったら状況次第で口説いてみる。 [備考]:臨也の装備品をナイフとライフルだけだと思っています。 (もし何か隠していても問題無いと思っている) [共通備考]:爆発後の詳細は、二人とも不明です。 【D-2/学校、階段前/1日目・16 55】 【折原臨也】 [状態]:上機嫌。 脇腹打撲。肩口・顔に軽い火傷。右腕に浅い切り傷。(全て処理済み) [装備]:ライフル(弾丸29発)、ナイフ、光の剣(柄のみ)、銀の短剣 [道具]:探知機、ジッポーライター、禁止エリア解除機、救急箱、スピリタス(1本) デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml) [思考]:地下へ向かうかマージョリーを探すか、考え中。 セルティを捜す。人間観察(あくまで保身優先)。 ゲームからの脱出(利用できるものは利用、邪魔なものは排除)。残り人数が少なくなったら勝ち残りを目指す [備考]:ジャケット下の服に血が付着+肩口の部分が少し焦げている。 ベリアルの本名を知りません。 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第470話 第471話 第472話 第470話 時系列順 第426話 第472話 折原臨也 第473話 第470話 マージョリー 第473話 第470話 サラ 第473話 第470話 マルコシアス 第473話 第470話 地獄天使号 -
https://w.atwiki.jp/jojosyana/pages/23.html
ブチャラティは自分の取った行動に、少しだけ驚いていた。 ついさっきまで、自分を殺そうかと思案していた女を助けたのだ。 無意識に体が動いた、に近いのかも知れない。 (つい、スタンドを発現させてしまったが・・・) スタンドは通常、普通の人間には見えない。 無論、種類によっては人の目に見え、触れることも出来るスタンドもあるにはあるが、 ブチャラティの“スティッキィ・フィンガーズ”は前者のタイプである。 つまり、普通の人間には見えないはずなのだが、目の前の女はおそらく、いや、 ほぼ確実に“普通の人間”ではない。 こういうタイプの“人間”に会うのは、ブチャラティとしては初めてのケースだったので、 ブチャラティは、見た目とは裏腹に内心緊張していた。 (もしも・・・、もしも俺のスタンドがこの女に見えていなかったのならば、その時は、 自分の首を絞めていた手首が粉々になってふっ飛んで行ったという疑問に対して、 ある程度説明しなければならないだろうが・・・、それでもまだ誤魔化しようはある。 問題なのは・・・、俺のスタンドが見えていた場合の方だ! もしも見えていたら、色々と面倒くさいことになる・・・) ブチャラティは女の目を再び見た。 (どっちだ!!!) 女は、首を擦りながら、ゆっくりと立ち上がると、口を開いた。 「・・・何をやったかは分からないけど、とりあえず助けてくれたことには感謝するわ・・・。 ・・・本当は、今すぐそのしてやったり顔を一発殴ってやりたいくらいだけどね!」 (見えていない・・・のか?) だが、この女なら見えていたのに、それを敢えて口に出していない、という可能性もある。 (取り合えず、今すぐにスタンドのことを説明する必要は無さそうだ・・・。それに・・・) ブチャラティはすぐに周囲に気を張った。 (あの骨野郎はまだ死んでいない・・・。この周りのフィールドがまだ解けていないことが それを証明している) ブチャラティはふと何かを考えた。 「おい、女」 「・・・何よ?」 「おやおや、随分と素直じゃねーか、我が沈黙の火山、マージョリー・ドー!!」 女はこの状況下で、ブチャラティや本の発言にいちいち突っかかることはしなかった。 「あの骨は何なんだ?簡単に説明しろ」 「あの骨は“徒”と言って・・・」 「俺は“そんなことを聞いているんじゃあない!!”」 「じゃあ、何を聞いてるのよ!!」 流石に女も、これにはイラッと来たようだった。 「あの骨は、“殺せるのか?”・・・いや、普通ゾンビ映画だと、ああいった類の奴は 殺しても死なないのが定石だからな」 「!!・・・・・・ええ、殺せるわよ。奴はただ骨の形をしているだけで、 何かが生き返ってるワケでも、ましてやゾンビなんかでもないわ」 「それだけ聞ければOKだ。もうそれ以上聞くのはご免だ。俺はお前らともうこれ以上、 関わり合いたくないんでね」 そう言うと、ブチャラティは軽く空を仰いだ。 先ほどまでの、ランチタイムにぴったりな、いい天気の空・・・とはまるで何もかも違う、 まるで煉獄のような色合いの空。 (もうこの空を見ているのは、流石に飽きたな・・・) ブチャラティはこの茶番を終わらすことを決心した。 その時、正にその一瞬を狙っていたかのように、骸骨が現われ、何かを発した。 突然の攻撃に、流石のブチャラティも対応が遅れた。 ブチャラティは光に飲み込また。 やがて、光が消えると、ブチャラティもその姿を消した。 後に残るのは、骸骨の耳障りとしか言えないような、腹の底に響く高笑いだけであった。 それは本当に一瞬の出来事であった。 先ほどまで、自分を偉そうに見下ろしていた男が、徒の放った謎の光を受けると、 まるで最初からいなかったかのように消えてしまったのだ。 「奴は一体何をしたのっ!?」 「さあな!だが、あの光は食らっちまうと不味いみたいだぜ!」 「そんなの、言われなくても分かってるわよ馬鹿マルコ!!」 マージョリーは完全に、相手の徒を雑魚と見くびっていたらしい。 そのことが生んだ油断・・・、そのせいで僅かだが体が遅れ、奇襲を防げなかった。 「グアーーーハッハッハッハAAAAAAAA!!やった、やったぞOOOOOOOO!!」 骸骨の気味の悪い笑い声が響き渡る。 「食ってEEE、食ってやりたかったがAAA、あんなムカツク奴UU、消してやったぜEEE!!」 マージョリーはすぐに歌を放つとそれは、骸骨に直撃しふっ飛び、バラバラになったが、一瞬で元の姿に戻った。 「なっ!?」 「無駄無駄無駄AAAA!!!!お前じゃ俺を殺し切れねEEEEEYO!!」 「・・・やるじゃない、久々に本気でやりたくなったわよ!」 マージョリーはそう言うと、一瞬で炎の衣『トーガ』を纏った。 「灰にしてやる!!!」 マージョリーがそう言ったのか、マルコシアスがそう言ったのか、どちらともつかない声が響くと、 強力な炎のようなエネルギーの塊を放出した。 しかし、徒は俊敏な動きでそれを避けると、先ほどあの男を消し去った光を放った。 「食らうかッッ!!」 見た目より俊敏な動きで、マージョリーはその光を交わす。光が当たった地面は一瞬の内に沸騰し、爆発した。 マージョリーは、徒を真正面から見据えた。 「捉えた!!死ね!!!」 「ま、待てEEE!!俺はお前の知りたいことを知ってるUUU!!いいのかAAA!? お、俺を殺せば、それが聞けなくなるZOOOOOOO!!」 「なっ!?」 その言葉で一瞬、マージョリーの反応が遅れると、それを見逃す徒ではなかった。 「KAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」 「!!しまっ!!」 徒の放った光がマージョリーを飲み込んだ。 「・・・生きてる?」 マージョリーは体が動くことを確かめると、ゆっくりと上体を起こした。 すると、目の前にあの徒が気味悪い音を漏らしながら、こちらを見下ろしているのが見えた。 「ヒャーハッハHAHHAHHA!!傑作だZEEEE!!」 「くっ」 「フレイムヘイズにこんな手が通用するとはなAAA、やってみるもんだNAAAA! お前は馬鹿だなAAAA、ハーッハッハHAHAHA!!」 マージョリーは自分でも、馬鹿だと思った。 徒を見た目で雑魚と判断し、おまけに囚わた復讐のせいで墓穴を掘る。これが馬鹿でなくて、何と言うのだろう? マージョリーは、いっそのこともっと笑って欲しかった。もっと惨めになりたかった。 一瞬、あの偉そうな男の顔が浮かんだ。 (アイツなら・・・、きっと私をもっとむかつかせるようなことを言ってたでしょうね) いつの間にか、『トーガ』が解除されていて、マルコシアスも何処かに消えていた。 マージョリーは、吐き捨てるように言った。 「何故、殺さないの?」 徒は即答した。 「俺はなあAA、甚振るのが好きなんだよOOO!!特にお前みたいなのをOOO!! 甚振って甚振ってEEE、陵辱して陵辱してEEE、それから殺してやるよOOO!!」 「本当に心の底から見下げた下衆野郎ね!」 マージョリーは、何とか反撃の機会を探したかった。 今殺されるわけにはいかない、しかもこんな奴に殺されたくは無い、 そんな思いが、窮地に立たされた彼女の心を支えていた。 「とりあえず、その顔OOOO!そこから甚振ってやるUUUUU!!」 徒が襲い掛かって来るのに、マージョリーの体は動かない。 (糞!!ここまでかっ!?) そう思った瞬間、再び“それ”は起こった。 「な、なあああAAAAA、またかAAAAAAA!!?」 徒はそう言うと、目の前から数メートルをバウンドしながらふっ飛んでいった。 (な、何が起きたと言うの!?) マージョリーは、その時奇妙なものを目にした。 それは、自分の腹がパックリと裂け、そこからあの憎らしい程偉そうな男が身を乗り出す、 その姿であった。
https://w.atwiki.jp/rightnovel/pages/57.html
声 - アニメ 野島健児悠二の高校からのクラスメイトで、「とりあえず美をつけてもよい」容姿の華奢な少年。当初は“紅世”とは無関係の一般人だったが、『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーとの出会いを機に“紅世”と関わるようになった。基本的に軽薄で要領や人当たりの良いクラスのムードメーカーだが、勉強は苦手。御崎市の旧家の息子だが家族とは確執があり、現在は豪邸で家政婦たちの世話を受けつつ居候のマージョリーと2人暮らしをしている。田中栄太・緒方真竹とは中学からの同級生。特に田中とは親友で、共にシャナと出会う以前に悠二の友人となっていた。後に悠二とも親友と呼べる仲になる。現在は更生しているが、中学時代は「狂犬」と呼ばれるほど反抗的で荒れており、当時のことを忘れていない者も多い。御崎市を訪れたマージョリーに目を付けられ、田中と共にサポートに当たる(II巻)。彼女を「親分」と慕い、今以上に役に立ちたいと日々努力を重ねるが、フレイムヘイズと“徒”の戦いに直接参戦するには弱すぎることを思い知り(VII巻)、以後は頭脳面で役立つことを目指して雑学の習得に励むが、それでも思うようにいかず苦悩する。その思慕は、当初は「親分と子分」であったようだが、いつしか男女のそれへと変化していった様子。マージョリーと出会った後も悠二やシャナの正体は知らなかったが、夏祭りの“徒”襲撃を機に秘密を共有するようになる(VII巻)。同時に悠二と自分の差をたびたび感じては罪悪感や無力感を抱いていたが、文化祭の騒動を機にその差をようやく受け入れた(XIII巻)。その後、一般人が関わる外界宿(アウトロー)の存在を知ってからは、マージョリーをサポートするため外界宿への参入を考えるようになり、悠二を介して外界宿へその意思を伝え、外界宿に役立つ人脈作りのため、有力な人脈を持つ親と和解し家族の住む東京へ移ることを検討し始める(XIII巻、XIV巻)。クリスマス・イヴに失踪した悠二のことは、“紅世”と長く関わったため忘れず、外界宿への参入に焦りを覚えはじめる。翌年1月、学校を休み外界宿の初等連絡員として東京へと向かう。その際“徒”の接近を察知し、御崎市のフレイムヘイズたちに迎撃体制を整えさせる一翼を担ったが、その“徒”が“祭礼の蛇”と合一した悠二だとは知らなかった(XVI巻)。外界宿東京支部に到着後は、『骸躯の換え手』アーネスト・フリーダーの策により軟禁状態に置かれたが、『輝爍の撒き手』レベッカ・リードに助けられ、マージョリーに宛てた対[仮装舞踏会]戦資料を託され御崎市への帰路に着いた(XVII巻)。帰宅後、昏睡状態のマージョリーに自身の素直な気持ちを打ち明けて口付けし、彼女を目覚めさせる。そしてマージョリーの想いを受け入れ、遂に両思いになった(XIX巻)。その後は対[仮装舞踏会]戦に参じるマージョリーに同行(XIX巻)。撤退戦の準備として、中国南西部の戦場近辺に配置された『天道宮』で董命たちと作業に当たっていたが、戦況の変転によってマージョリーが戦場に赴いた後、地中に埋伏された『天道宮』に避難してきたフランソワたちを出迎えた(XX巻)。フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には飛行機でニューヨークに移動し、シャナたちと合流。シャナたちと『大地の三神』の会合を見届けた。その後、シャナたちが特別便の飛行機から降りて御崎市に突入した後も、飛行機に残って別行動に移った(XXI巻)。御崎市決戦では、他の外界宿の人員と共に御崎市の監視班に配属され、近隣の大戸市から御崎市を監視していた。しかし、新世界が創造されて封絶が解除されると田中に電話し、それによって御崎大橋で戦闘がまだ行われているのを知ると急いで御崎市に向かい、御崎市の復元の実行によって街中の人々に響き渡る坂井悠二の声を聞き、シャナたちが新世界へ旅立つ直前にマージョリーと合流した(XXII巻)。新世界『無何有鏡』完成後は、外界宿の仕事の都合から東京の学校へ転校した。アニメの設定では身長167cm。第1期では中学時代の荒れ気味の性格が強く残っており、田中とは親しいが悠二たちとの交友関係は殆どない。第2期からは闘いを通じて交友関係もでき性格も多少丸くなったが、悠二に対して対抗心を抱き相談する事を拒絶するなどやはり性格が異なる。緒方が砕け散ったショックから田中がマージョリーから渡された付箋を手放したことで自分たちの道が分かたれたことを知るが、彼の決断を賞賛するなど田中と二人で一緒の道を行く事にはあまり拘っていない。しかし、マージョリーに対して戦線離脱を告げることは自ら為すべきだと考え、対サブラク戦でのサブラクの罠の一環であるザロービに同行せざるを得なかった悠二のSOSを受け取った田中がそれを伝えに来た折、田中が自ら告げるまで彼の代わりにマージョリーに言うことなく親友を見守っていた。第3期アニメでは昏睡状態からマージョリーが目覚めた後、原作にはなかった撤退戦への出立前の二人の様子が描かれ、マージョリーと男女の仲になったことが示唆されていた。 灼眼のシャナ
https://w.atwiki.jp/sslibrary/pages/294.html
【種別】 神器 【初出】 VIII巻 【解説】 “虚の色森”ハルファスの意思を表出させていた、フレイムヘイズ『愁夢の吹き手』ドレル・クーベリックの神器。 形状はステッキ型で、ハルファスが喚く際には、これ自体が暴れるようだ。 はっきりとは描写されていないが、VIII巻でドレルが[仮装舞踏会]の『三柱臣』将軍シュドナイの剛槍型宝具『神鉄如意』によって両断されて戦死した際に、共に破壊され消失したと思われる。 【由来・元ネタ】 ドイツ語で占い棒を意味する「Wünschelrute」。 地下の鉱脈や水脈を探り当てる力があるとされる、柳などの二又の枝でできたものをこう呼ぶ。 【コメント】 ☆由来を修正、スペルミスで見つからなかったみたいだな。 ☆修正感謝。いわゆる「ダウジング」に使う棒か。 ☆アニメ第2期で登場したが、一言も喋らずに契約者がご臨終した。“ブンシェルルーテ”らしき杖が折れて転がっているだけであった。 ☆マージョリー・ドーの“グリモア”やフランソワの“スプレット”や『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルの“ペルソナ”や『輝爍の撒き手』レベッカ・リードの“クルワッハ”ほど役には立たなかったな。 ☆シャナとマティルダ・サントメールの“コキュートス”やマージョリー・ドーの“グリモア”や『儀装の駆り手』カムシンの“サービア”と比べて、どれが一番格好良かったかな。 ☆番外編『かぐやひめのしゃな』でも、ハルファスの宿る杖として登場している。 ☆番外編『おじょうさまのしゃな』には登場しなかった。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』にも登場しなかった。
https://w.atwiki.jp/sslibrary/pages/454.html
【種別】 現象 【初出】 XIII巻 【解説】 [仮装舞踏会]の『暴君II』が人間の感情サンプルを収集する一連の現象を指す言葉。 強烈な感情を察知すると『暴君II』は当該地に自身の分身を転移させ、周辺の人間を動力源として“存在の力”に変換して吸収、『暴君』本体の一時的な受信機を形成する。 形成された分身自体には何の意思も無く、呼び出した感情の主の欲求や願望に忠実に、まるで鏡のように「やりたかったこと」を行う“代行者”となり、行動を忠実に再現することで感情の在り様を写し取り、『暴君II』は人間の感情とそれに伴う行動を採集した。 これが『鏡像転移』であり、強い感情を持った人間と『暴君』の引き起こす『現象』であった。 なお、採集の際には呼び出した人間(マージョリー・ドーなど)に呼び出した感情に応じた姿を幻視させていた。なお、採集された感情の断片は、坩堝型我学の結晶『吟詠炉』に蓄積されていた。 XIV巻の終盤で、この蓄積された感情の断片を『大命詩篇』最後の式で繋ぎ合わせて、創造神“祭礼の蛇”の仮想意思総体が完成した。 【コメント】 ☆アニメ版から、マージョリーの回想の中で発現していた。 ☆アニメ第2期では、原作通りに清秋祭の終了間際に発現した。 ☆状況からマージョリー以外にも、この現象でフレイムヘイズとなった者がいてもおかしくなかったな。 ☆ティスがこの現象に絡んでいたら面白そうだったのにな。
https://w.atwiki.jp/rightnovel/pages/58.html
声 - アニメ 近藤孝行悠二の高校からのクラスメイトで、愛嬌のある面付きをした大柄な少年。当初は“紅世”とは無関係の一般人だったが、『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーとの出会いを機に“紅世”と関わるようになった。基本的に律儀で穏やかな性格で、勝負事などは真剣に楽しむ反面、恋愛事には鈍感で不器用。シャナ曰く、学園で一番身体能力が高い。佐藤啓作・緒方真竹とは中学からの同級生。特に佐藤とは親友で、共にシャナと出会う以前に悠二の友人となっていた。中学時代は荒れており、佐藤と共に喧嘩をして回るのは日常茶飯事だった。その為、母親からは佐藤と手を切って欲しいと思われているが、本人は意に介していない。御崎市を訪れたマージョリーに目を付けられ、佐藤と共にサポートに当たった(II巻)。彼女を「親分」と慕い、彼女の役に立ちたいと佐藤と共に努力を重ねるが、その思慕はあくまで「親分と子分」と言う立場を前提としたものであった。マージョリーと出会った後も悠二やシャナの正体は知らなかったが、夏祭りの“徒”襲撃を機に秘密を共有するようになった(VII巻)。また、その襲撃中に緒方から告白を受け(VI巻)、戸惑いながらもそれまで以上に親しく付き合い始めた。その後、文化祭の騒動時に、封絶の中で彼女が砕け散る様を目撃してしまい、緒方への想いを自覚すると同時に、“紅世”と関わることを恐れ始めた(XII巻)。一方で、当初の誓いのままマージョリーのために道を模索する佐藤と自身を比較し、不甲斐ない思いを抱くようになった(XIII巻)。悠二からはクリスマス・イヴに(XIV巻)、佐藤からは彼が東京外界宿へ向かう途中に(XVI巻)、フレイムヘイズたちへの連絡役を任され、恐怖に怯えながらも友人たちの信頼を裏切れず、自らの役割を果たした。特に佐藤が御崎市を発って以降は、人手不足から渋々ながらマージョリーのサポート役を続けた。クリスマス・イヴに失踪した悠二のことは、“紅世”と長く関わったため忘れず、悠二が“徒”側に寝返ったと知って戸惑い怒りを覚えたものの(XVI巻)、それでも“紅世”への恐怖心は拭えず、既に自分の手に余る事態であることも理解していた(XVII巻)。“祭礼の蛇”坂井悠二との戦いでマージョリーが昏睡状態に陥る(XVI巻)と、佐藤の帰宅を待ちながら、彼が戻るまで毎日マージョリーの様子を見ていた(XVII巻)。その後、レベッカに助けられた佐藤が御崎市に戻ると、御崎市駅の改札口で出迎え、彼を自分なりに励ました(XIX巻)。2月、吉田たちと共に妊娠中の坂井千草を見舞う。その帰りに“祭礼の蛇”坂井悠二と再会し、吉田を連れ去ろうとする悠二から、新世界『無何有鏡』を創造する理由を聞き出す。その話の中で“徒”側に寝返ったはずの悠二が、以前と変わらず御崎市や家族や友人たちを守ろうとしていることに気付く。そこで、御崎市からの逃亡を勧める悠二に対し、自在式の栞を手放し普通に過ごすから自分たちを守ってみせろと告げて彼への信頼を示し、握手を交わして悠二の前から立ち去った(XXI巻)。そして、新世界『無何有鏡』が創造されて封絶が解除された直後に、携帯電話にかかってきた佐藤からの連絡で事情を知った直後に御崎大橋で(マージョリーとシュドナイの)戦闘が行われていることに気付く。そして、佐藤からの再度の連絡でシャナと悠二が和解して一緒に新世界へ旅立ったことを知って、涙を流して見送った(XXII巻)。アニメでの設定では身長175cm。佐藤ほどではないが性格が原作と異なる。第2期アニメでは“紅世”には関わらないという結論も出して、親友の佐藤にマージョリーのしおりを渡して決別の意を告げていた。 灼眼のシャナ
https://w.atwiki.jp/steve600/pages/173.html
ドー、マージョリー ドーテンマン、ハンナ トート、ラウラ トーネイド、パナビア トチッチ、サニー トッコ、ファヒ ドッリオ、フェデリカ トネ、ヴォルフヒルダ トマソン、ヤン ドミ、ブランシュ ドミンゲス、セレニーナ ドミンゴ、カーラ 豊田、可莉奈 ドラーゴ、ユーナ トラウム、エルフィール トリステイン、アンリエッタ ドル、トミー トルキオ、ルイーサ トルティア、サルサ トルティア、リトス トルド、ビンザロッティ ドルファン、プリシラ トローベル、ヘレン トワラン、マリー トンプソン、アイカ
https://w.atwiki.jp/jojosyana/pages/78.html
作者名 作品名 種類 状態 登場キャラ ◆Ea0R8d6UQA シャナが助けたのが空条承太郎だったら・・・ 長編 未完 空条承太郎 シャナ フリアグネ 無冥 蹟怜 ◆ktuOoSP9Ds STARDUSTφFLAMEHAZE 長編 未完 空条承太郎 シャナ ジョセフ・ジョースター 花京院典明 DIO ◆cVhWKV23rU ブチャラティの奇妙な“ユメ” 短編 完結 ブローノ・ブチャラティ マージョリー・ドー 紅世の徒 吉良 短編 完結 吉良吉影 紅世の徒 TINコッド◆S0WQ9ktEpk 星屑には手が届かない…… 短編 未完 ヴィルヘルミナ・カルメル ジョセフ・ジョースター 空条承太郎 ジャン・ピエール・ポルナレフ 不明 鉄と壊刃 短編 未完 サブラク リゾット・ネエロ
https://w.atwiki.jp/wsranking/pages/49.html
デッキレシピ ■レベル0 キャラ15枚 《黄色 キャラ》 この街での成長 シャナ×3枚 《赤色 キャラ》 討滅の使徒 シャナ×2枚 ティアマトーの契約者 ヴィルヘルミナ×3枚 対峙の時 シャナ×2枚 《青色 キャラ》 “彩飄”フィレス×2枚 からっぽの存在 ヘカテー×3枚 ■レベル1 キャラ14枚 イベント1枚 計15 《黄色 キャラ》 変わった“トーチ”悠二×1枚 《赤色 キャラ》 贄殿遮那の担い手 シャナ×2枚 シャナ&アラストール×1枚 “麗しのゴブレット”マージョリー×3枚 “フレイムヘイズ”ヴィルヘルミナ×4枚 守るべきもの シャナ×2枚 “屠殺の即興詩”マージョリー×1枚 《赤色 イベント》 銀の炎×1枚 ■レベル2 キャラ6枚 《黄色 キャラ》 “フレイムヘイズ”シャナ×2枚 初めての気持ち シャナ×1枚 《赤色 キャラ》 『弔詞の詠み手』 マージョリー・ドー×1枚 ドロシー役のシャナ×2枚 ■レベル3 キャラ6枚 《赤色 キャラ》 大いなる器 シャナ×3枚 シャナ&悠二×3枚 ■クライマックス 8枚 《赤色》 天破壌砕×4枚 想いの力×4枚 【コンセプト・回し方】 レベル0:後列成長シャナでヘカテーを5000まで伸ばす、自ターンはちょろちょろパンプ レベル1:メインは天然シャロ互換のヴィルヘルミナ、後列の贄殿遮那、前列のマージョリーで継続してパンプ レベル2:フレイムヘイズシャナが加わる程度で基本はLV.1と同じ動き、手札がドロシー役等で磐石なら一応器チェンジも狙う レベル3:器、シャナ悠二、守るべきもの、の連パン トップ盛りでとっとと終わらせる 【各要素・長所・短所】 パワー:A/D 回収 サーチ:C 回復:D 決定力:B 長所:豊富な自ターンパンプ手段による継続した自ターン殴りの強さ、器とシャナ悠二による決定力の強さ 短所:手札増加手段が少なすぎるんで一度手札を減らされるとリカバリが大変、LV.3が長引くと無理ゲー tes -- (てす) 2012-02-12 21 36 26 手札増えんだけで回収サーチはAだと思うけどな -- (名無しさん) 2012-03-05 20 10 10 天破壌砕4枚入れてるのに器3積みの理由は? ドロシー役の経験5を2レベルまでに満たすのが辛い 構築的にハンド増やせないから銀の炎積むメリット少なくないか レベル3までソウル2のキャラが存在しないのはダメージレース負けてるときどうするの? -- (名無しさん) 2012-03-09 11 10 19 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/511.html
第407話:地を行く人喰い鳩 作:◆CDh8kojB1Q この殺伐とした島にそぐわぬ施設、海洋遊園地。 その施設は縦に長く、二つのエリアにまたがる敷地を有する。 そして、その路面を一人の男が全力で疾走していた。 「あー、クソッたれ! 何でこう逃げまくんなきゃならねーんだ?」 オレがちらりと後ろを見ると七匹の獣が自分を追走していた。 何だよありゃあ? 新手の大道芸人か? ただの猛獣使いならサーカスに帰れ。ここは遊園地だ! 思えば出会う敵全てが超人クラスだった。 とんでもない身体能力を誇る名前のクソ長い美形の戦闘狂。 見た目とは大違いの実力を誇る二人の女剣士。 四対一にもかかわらず喧嘩を売ってきた空間使いのガキ。 どいつもこいつも自分が本気を出して、紙一重で死を回避するのが限界の実力者達だ。 今、自分を追いかけてくる奴も人外の存在に決まっている。 しかも体力は限界で、フォルテッシモから与えられた傷には血が滲んでいる。 このまま動き続けると、あと五分でオレはぶっ倒れる。 I-ブレインが使えないのにどーしろってんだ!? オレの心からの叫び、しかし誰にも届かない。 「鬼ごっこかぁ? ま、せいぜい楽しませてくれよッ。ヒャハハァー!」 背後からの声には緊張感のカケラも感じられない。 アル中か? 薬中か? それともただの異常者か? あいにくオレには、殺し合いを楽しむ神経はねーんだよ。 だいたいさっき会ったフォルテッシモとか言う奴はどうなったんだ? 死んだのか? それともこいつの仲間でオレを挟撃しようとしてるのか? I-ブレインが起動できれば演算で様々な回答をたたき出せるのだが、今は逃げることだけを考える。 次の瞬間、背後に熱気を感じたオレは加速したまま横っ飛びに跳躍した。 そのまま身を捻って飛び前転の体勢に繋ぎ、勢いを保って立ち上がる。 ヒュッ! 横を見ると、さっきまで自分がいた場所を火球が飛び去っていった。 ……危ねえ危ねえ、こんなところでステーキに成るのは御免だぜ。 日頃から体鍛えてたのはビンゴだな。 「見苦しいわよ。戦う気がないならさっさと死んで頂戴」 今度は女の声が聞こえた。どうやら敵は複数らしい。 フォルテッシモとは嗜好が違い、完全に殺しを目的としているようだ。 好き勝手言われるのも癪なので、オレは取りあえず言い返した。 「うるせえ! 本日におけるオレの戦闘に対する許容量は限界なんだ。他を当たれ!」 更にコミクロンの台詞を引用して、 「これ以上オレを怒らせると、歯車様の鉄槌が下るぞ?」 言ってやった。苦し紛れのハッタリだが、それっぽく言ったので威嚇にはなるはずだ。 「上等よ。やってみなさい!」 ……逆効果だった。背中に研ぎ澄まされた殺意が刺さる。 ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! 振り返ったオレが見たのは、先ほどより幾分速度を増した火球だった。 炎弾を連射できるのかよ! やばい。コミクロン、火乃香、シャーネ、誰でもいいから助けに来てくれ。 迫り来る死を回避する為、オレは手近なアトラクションに飛び込んだ。 ヘイズが助けを切望していた三人は花壇に居た。 もっとも、すでに一人は死んでいたが。 シャーネの墓を作る時間が無かった火乃香とコミクロンは、 彼女を花壇に寝かせて花葬にした。 コミクロンの治療によりシャーネの体に外傷は無く、生前の美しい容姿を保っているものの、 彼女が再び立ち上がり、微笑む事は無いだろう。 「すまんシャーネ。俺の未熟と驕りのせいで……」 「あんただけの責任じゃない。今は気持ち切り替えていくしかないよ、コミクロン」 「ああ、クレアに謝罪のメモも残したし、とっととヴァーミリオンを助けて退散するか。 火乃香、あいつの位置は分かるか?」 「ん、こっから南西へ50メートル。あのアトラクションの中っぽいね」 火乃香の額の中央で蒼光を放つ第三の眼を見た後、コミクロンは周囲を見回す。 そして、遊園地の入り口近くに止まっているある物に目をつけた。 「なあ、お前はあれを動かせるか?」 「できないことは無いけど、一体どうすんのさ? この距離じゃ走るのとそう変わらないよ?」 火乃香の視線の先、余裕顔を取り戻したコミクロンは顎に手を当て、 ――やっと、俺の天才的思考能力が役立つ時が来たようだな。 休憩中にまとめ上げた計画を告げた。 アトラクションに飛び込んだ先、周りには五人のオレが居た。 「何だ?」 自分が眉をひそめると相手も表情を変えた。 びびったぜ、ただの鏡か。しかも通路全面に……何なんだここは? 一瞬だけ追っ手の術かと思ったが、ここは鏡で人を惑わすアトラクションだとオレは気づいた。 うまく立ち回れば逃げ切れるかもしれない。 三秒後、オレは群青色の火の粉を散らした獣が突入してきたのを知覚する。 「ふん、ミラーハウスに逃げ込むとわね。数の多いこっちが自分の鏡像で混乱するとでも思ってるの?」 唐突に獣の身体がはじけ飛び、獣が居た位置には小脇に巨大な本を抱えた女性が立っていた。 ……大道芸人だったのか。それにしてもずいぶんとグラマーな姐ちゃんじゃねえか。 「私は"弔詞の詠み手"マージョリー・ドー。消し炭になる前に覚えておきなさい」 弔詞の詠み手、か……大した貫禄だぜ。 それにこの隙の無い動き、かなりの場数をふんでやがる。 「オレは "人喰い鳩"(Hunter Pigeon) ヴァーミリオン・CD・ヘイズ。翼をもがれた空賊だ」 入り組んだ鏡の通路の中、オレは名乗りながらもじりじりと"前進"する。 実際は出口に向かって進んでいるのだが、マージョリーには鏡像に映ったオレの姿が 用心深く接近して来るように見えるはずだ。 試しに騎士剣を手に持つと、マージョリーは身構えた。 「ただのヘタレかと思ったけど……戦う気は有るようね」 良し、マージョリーは策にはまった。後は距離を稼いでトンズラするだけだ。 「ここで停車、と。準備できたよコミクロン」 火乃香の声にコミクロンは満足げに頷いた。 目の前には『ミラーハウス』と書かれたアトラクションが建っていて、 自分の横には園内の送迎用バスがいつでも発進可能な状態で待機している。 「ふっふっ、後はヴァーミリオンが出てくるのを待つだけだな」 フォルテッシモの防御は硬く、並大抵の攻撃力では打ち破れない。 ならば防御できても行動不能な状態にしてしまえば良い。 では大質量物体をぶつけて埋めてしまおう。 これがコミクロンの立てた計画だった。 「バスをミラーハウスに突撃させればフォルテッシモが直撃を免れたとしても、 ミラーハウスの倒壊に巻き込まれてしばらく出てこれないだろう。戦闘は力押しが全てじゃない。 戦術面ではこのコミクロンが上だ!」 「あたしはこの計画も十分力押しだと思うんだけどな」 「むう、小さいことは気にするな火乃香。それよりヴァーミリオンは何分後に出てきそうなんだ?」 「けっこう遅めに進んでるから……あと二分かそこらはかかるね。 けどあたしがバスぶつける間の敵の足止めはどうするのさ?」 「ふっふっふっ、任せておけ。今とっておきの構成を練ってる」 「タイミング命なんだから肝心な所でスカさないでよ?」 「ふっ、この天才には愚問だな」 コミクロンの返事を聞きながら、火乃香はハンドルを握り直した。 「ねえ、あんた本当に私と戦う気があるの?」 「そーやって誘っても無駄だぜ。お前の火力は半端じゃないからな」 オレはマージョリーの鏡像の一つを睨み付けた。 強がってはいるものの、オレの足は着実に出口へ近づいている。 このまま行けばあと一分位で脱出できるはずだ。 しかし、ハッタリとフェイントでマージョリーを牽制するのももう限界に近い。 もしも彼女が痺れを切らして飛び掛かられた場合、こちらはもう何もできない。 くそっ、そろそろ手詰まりか。血も出過ぎてくらくらするし、 ちと早いがここらで賭けに出るしかねえな。 コミクロンの治療が終わっているなら味方と合流して反撃。そうでないなら死だ。 他人任せってのは好きじゃねえが……! 出口に向かってオレは全力で駆け出した。 例え全面鏡張りの通路であっても、床と壁の継ぎ目に沿って走れば自然と出口にたどり着く。 「嵌めたわねっ!」 オレの加速を攻撃と捉えて防御体勢をとった分、僅かに反応の遅れたマージョリーが、 オレの意図に気づき炎を纏った獣に変身して追走してくる。 外見と違って、ずいぶん頭に火が付きやすいじゃねえか。 しかも結構走るの速ええぞ。怒らせたのはやばかったか? 今まで稼いだ距離が一瞬にして詰められる。だがそこを曲がればもう出口だ! 「避けてヘイズ!」 鏡の通路から飛び出たオレが見たのは、 「バス!?」 と運転席に座る火乃香だった。 バスの急発車とともに耳をつんざくほどのクラクションが鳴り、 「走れヴァーミリオン! ぼけっとすんな!」 横からコミクロンの声が聞こえた。 ――そういうことかっ! 二人の考えを理解したオレは、火球を回避した時のように全力で身を投げ出す。 それとほぼ同時、バスの運転席の火乃香も開け放たれたドアから飛び出した。 バスは速度を保ったままオレを追って駆け出てきたマージョリーに、 「遅いわよ!」 突っ込むことはできない。獣の姿の彼女の回避が一瞬速いはずだ。 だが、 「コンビネーション2-7-5!」 その回避を止める物があった。 オレが視線の先、コミクロンの突き出した左手の先端に光球が出現し、 キュンッと音を立てて、鏡の通路から飛び出そうとするマージョリーのすぐ眼前に転移した。 その後に続くのは刹那の破裂音と僅かな閃光。 「ぅあ!」 あまりにも突然過ぎる上にバスの回避に集中していたマージョリーは、 コミクロンの魔術の直撃を受ける。 そして――、 ズドォォン! バスはマージョリーを吹き飛ばし、アトラクションに激突した! こりゃあ常人なら即死、何かしらの防御を発動してもまず行動不能だろうな。 随分とむごい倒し方だが……自業自得って言えばそれまでか。 一息着いたオレは仰向けになり、 「危ねえ!」 横にいた火乃香を押し倒して、その上に覆い被さった。 数瞬後、衝撃によって舞い上がった鏡片が雨のように降り注ぐ。 「うおっ、鏡か?」 火乃香と同様に落下物に気づかなかったコミクロンが叫び声を上げるが、 そちらまでかまっている暇は無かった。まあ、ぎりぎりで回避できるだろう。 しばらくしてバス衝突の二次災害も収まったので、オレは火乃香の上から立ち退いた。 「いきなり押し倒して悪かったな。無事か?」 「あたしは平気だけど……ヘイズは? 結構な量みたいだったけど」 あたりを見回すと一面に鏡片が飛び散っている。 だがオレは厚手の服のおかげで全く無事だった。 「問題ねえよ。実際大したでかさじゃ無かったしな」 「おい、何故俺の存在をスルーするんだ?」 心配も何も無傷じゃねえかよ、お前。 取り敢えず別の話題で誤魔化すか。 「おおコミクロン、さっきの魔術凄かったじゃねーかよ」 「あれの凄さを分かってくれるかヴァーミリオン! なに、簡単な事だ。転移する小型雷球を使って一瞬だけ電流を流し、神経を麻痺させたんだ。 やはり分かる奴には分かるのだな、この天才の偉大さというものが。キリランシェロとは大違いだ。 それにあのエレガントな役回りこそこの俺に……」 良し、誤魔化し成功。 後は適当に聞き流すか。 「そー言えばヘイズ、あの獣は何だったのさ? フォルテッシモは?」 「あれはマージョリー・ドーとか言うゲームに乗った大道芸人で、本体は美人の姐ちゃんだ。 フォルテッシモは図に乗り過ぎてたんでオレが成敗しといた。 おかげでI-ブレインが停止しちまったがな……ところでシャーネは何処だ?」 ん、この火乃香の顔色……まさか。 「シャーネは……死んだよ……」 くそっ、最悪の予想が当たっちまったか。 オレは又、別の話題で誤魔化そうとしたが、 「あたしは平気だよヘイズ。だけどコミクロンは……多分そのことで今も――」 「分かった、もう言うな。医療魔術の能力低下は今に始まった事じゃねえ。 これ以上はあいつ自身の問題だ」 「おい、何話してんだそこ。俺が大いなる大陸魔術士の歴史を紐解いて説明してやってるのに…… 聞いてるのか?」 おいおい、どーしてエレガントが大陸魔術士の歴史にまで発展してんだよ。紐解きすぎだ。 あとオレはお前の魔術を褒めはしたが、講義を聞かせてくれなんて言ってねえぞ。 そこまで心中でツッコミを入れたオレは、これ以上話させるのは不毛と判断して話題を変えた。 「その話はもっと時間が有る時にしてくれコミクロン。 今は二つばかり質問が有るんだがいいか?」 「どんと来い。この天才が答えてやろう」 「一つ目は武器をどうするか。二つ目は今後どうするかだ」 どんと来いと言うので、ストレートな質問をぶつけてみた。 「壊れた剣はバスのアクセルとハンドルの固定のためにあたしが使ったよ。 つまり今はヘイズの持ってる騎士剣とコミクロンのエドゲイン君しか武器は無し。 あと今後どうするかだけど、今あたしは猛烈に休みたい」 「俺も休憩には異議無し、だ。ゲームが始まって以降寝てないしな」 そう言えばそうだな。 実を言うとオレの疲労も限界なので、正直この提案はありがたい。 「じゃあ取り敢えず休憩するか。だがこの場じゃあだめだ、 さっきの音を聞き付けた奴に襲われる可能性がある。まずは近くの安全そうな場所に避難すべきだ」 「距離的には公民館が近いね。神社も捨てがたいけど」 「俺は神社に行くべきだと思うぞ。 袋小路だが、それ故に人が集まりにくいはずだからな。休むには持ってこいだ」 「分かった。まずは神社に行くとするか」 目的が決まったならば長居は無用だ。 オレはコミクロンから荷物を受け取ると空を見上げた。 元居た世界とは違い、一カケラの雲さえない広々とした蒼天が続いている。 ……天樹錬、お前はこの空さえ見れずに死んだのか? ハリー、オレは絶対帰るからな。スクラップになんか成るんじゃねえぞ。 親父、オレは今精一杯走って生きてるか? 「空を見上げて何やってんだヴァーミリオン? 治療してやるから早く来い」 「青春に浸ってたんだ。今行く」 オレは止まらない、止まれない。 死んでいった奴等のため、帰りを待ってる奴等のため。 「ま、せいぜい足掻いてやるか」 ヘイズ達が立ち去った後、崩れたミラーハウスから一本の手が生えた。 "弔詞の詠み手"マージョリー・ドーである。 「ヒャハハ、鬼ごっこは負けみてえだな。我が麗しのゴブレット、マージョリー・ドー」 「黙りなさいバカマルコ。ったく、午前のガキ二人といいふざけた連中しかここには居ないの?」 愚痴る彼女の前をバスのギアーが転がっていく。 「……歯車様の鉄槌、だな。ヒャハハハハ。あの赤髪やるじゃねぇか」 バスが激突する直前、マージョリーは背後の壁を吹き飛ばして後退し、直撃を防いだ。 しかしコミクロンの予測は的中し、防いだ所で無傷では済まなかったが。 「今度会ったら全員炭の柱にしてやるわ」 「ヒャッハッハッハー! まだまだやる気満々だなぁ。我が怒れる美姫マージョリー・ドー」 「当たり前よ」 【E-1/海洋遊園地/1日目・12:25】 【戦慄舞闘団】 【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】 [状態]:左肩負傷、疲労困憊 I-ブレイン3時間使用不可 [装備]:騎士剣・陰 [道具]:有機コード 、デイパック(支給品一式・パン6食分・水1500ml) [思考]:1、休みたい 2、刻印解除構成式の完成 [備考]:刻印の性能に気付いています。 【火乃香】 [状態]:貧血。しばらく激しい運動は禁止。 [装備]: [道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1800ml) [思考]:休みたい。 【コミクロン】 [状態]:疲労、軽傷(傷自体は塞いだが、右腕が動かない)、能力制限の事でへこみ気味 [装備]:未完成の刻印解除構成式(頭の中)、エドゲイン君 [道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1200ml)(パンは砂浜で食べた) [思考]:1、休みたい 2、刻印解除構成式の完成。3、クレア、いーちゃん、しずくを探す。 [備考]:かなりの血で染まった白衣を着直しました。へこんでいるが表に出さない。 [チーム備考]:全員が『物語』を聞いています。遊園地までの道中で水を飲みました。 騎士剣・陽(刀身歪んでる)、魔杖剣「内なるナリシア」(刀身半ばで折れてる)が、 ミラーハウスの中に埋まっています。 シャーネの遺体が花壇に横たわっています。デイパックも放置されています。 遺体の横にクレア当てのメモがあります。 【マージョリー・ドー】 [状態]:全身に打撲有り、ぷちストレス [装備]:神器『グリモア』 [道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1300ml) 、酒瓶(数本) [思考]:ゲームに乗って最後の一人になる。 [備考]:酔いをさますために水を飲みました。 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第406話 第407話 第408話 第364話 時系列順 第358話 第400話 ヘイズ 第411話 第398話 火乃香 第411話 第400話 マージョリー 第453話 第398話 コミクロン 第411話 第400話 マルコシアス 第453話